年次有給休暇の取得義務化による実務上の注意点

♦ 取得日の指定と就業規則の変更

年次有給休暇の5日取得義務化により、会社は従業員に取得を希望する時季を聞き、その希望を尊重しつつ取得日を指定し、取得させる必要があります。ただし、従業員が自ら取得した日数や労使協定による計画的付与で取得した日数はこの5日から差し引くことができます。なお、今回新設された使用者による時季指定を行う際には、就業規則に時季指定の対象となる労働者の範囲や時季指定の方法などを記載する必要がありますので、就業規則の変更を忘れずに行うようにしましょう。

取得義務化の対象者

取得義務のある対象者には、管理監督者や年10日以上の年次有給休暇が付与されるパートタイマーも含まれます。また、年度の途中に育児休業等から復帰した従業員も対象者となるため、復帰後に年5日を取得させる必要があります。

年次有給休暇管理簿 

今回の法改正で、年次有給休暇管理簿を作成し、3年間保存することが義務となりました。年次有給休暇管理簿には従業員ごとに、①年休を取得した日、②基準日、③基準日から1年以内に取得した年休の日数を記載することになります。決められたフォーマットはないため会社ごとに自由に作成でき、労働者名簿や賃金台帳とあわせて作成することも認められています。

厚生労働省の「年5日の年次有給休暇の確実な取得 わかりやすい解説」リーフレットに、分かり易く具体例等が紹介されていますので、ぜひ参考になさってみて下さい。