同一労働同一賃金〔第3回〕

今回は、同一労働同一賃金に関する最高裁判決などを踏まえて、賞与、基本給、その他代表的な手当の考え方と留意すべきポイントについてお伝えします。

項目 考え方(ガイドライン) ポイント
基本給 労働者の①能力又は経験に応じて支払うもの、②業績又は成果に応じて支払うもの、③勤続年数に応じて支払うもの等、それぞれの趣旨・性格に照らして実態に違いがなければ同一の、違いがあれば違いに応じた支給を行わなければなりません。 ・基本給の支給を「能力に応じて決定する」という場合、その求められる能力の違いはパートタイム労働者・有期雇用労働者と正社員ではどの程度違うのか、その違いに応じた基本給の差になっているかが問われます。

・「職務の内容」「人財活用の仕組み」の違いを明確にし、職務の専門性や難易度、経営・業績への影響度等の性質を比較することで、基本給の違いが妥当なものであるのかを検証するとよいでしょう。

各手当 役職手当:役職の内容(責任を伴うポスト)に支給される手当

は、同一の支給をしなければなりません。

正社員が従事するリーダー等、「職務の内容」等が同じであれば、パートタイム労働者・有期雇用労働者にも、同一の役職手当を支給することが求められます。
通勤手当:パートタイム労働者・有期雇用労働者にも、正社員と同一の通勤手当を支給しなければなりません。 通勤手当は、通勤に要する交通費の実費補填を目的としているため、「職務の内容」や「人財活用の仕組み」等の違いは、通勤に要する費用の多寡とは直接関連しないとし、金額の違いは不合理とする判断が示されました。

(出勤日数に応じた支給は認められます)

賞与 賞与の支給について、会社の業績等への労働者の貢献に応じて支給する場合は、同一の貢献には同一の、違いがあれば違いに応じた支給を行わなければなりません。 ・パートタイム労働者・有期雇用労働者と正社員との間で、賞与の支給について取り扱いの違いがある場合は、その違いを検証しましょう。

・賞与の支給基準が「職務の内容」「人財活用の仕組み(人事異動や転勤の有無など)」「正社員の人材確保や定着目的」「長年の勤務に対する功労報償」等の違いにより決定される場合は、不合理とされにくい傾向があります。

判断のポイントは、各手当等の性質や目的が、対象のパートタイム労働者・有期雇用労働者にも当てはまるか、それに基づき支給決定しているか、という点です。これにより不合理な待遇格差であるか否か判断されるので、自社の手当や制度の趣旨・目的を今一度検証し、不合理な待遇格差が生じないようにしましょう。