新型コロナの罹患後症状に関する労災の取扱い

新型コロナウィルスに罹患した後、感染性は消失したにもかかわらず、他に明らかな原因がなく持続する症状や、一旦消失後再び症状が生じて持続する場合があります。主な症状としては、倦怠感、頭痛、息切れ、味覚・臭覚障害、脱毛などで、少なくとも2ヶ月以上持続している方は、罹患後症状(いわゆる後遺症)の可能性があります。

厚生労働省では「新型コロナの罹患後症状の労災補償の取扱いに関する通達」を発出し、新型コロナの罹患後症状の労災補償における取扱いを明確にしています。具体的な取り扱いは次の通りです。

 

  • 療養補償給付

医師により療養が必要と認められる以下の場合については、本感染症の罹患後症状として、療養補償給付の対象となる。

(1)診療の手引きに記載されている症状に対する療養(感染後ある程度期間を経過してから出現した症状も含む)

(2)前記1の症状以外で本感染症により新たに発症した傷病(精神障害も含む)に対する療養

(3)本感染症の合併症と認められる傷病に対する療養

 

  • 休業補償給付
    罹患後症状により、休業の必要性が医師により認められる場合は、休業補償給付の対象となる。なお、症状の程度は変動し、数か月以上続く症状や症状消失後に再度出現することもあり、職場復帰の時期や就労時間等の調整が必要となる場合もあることに留意すること。

 

  • 障害補償給付
    本感染症の罹患後症状はいまだ不明な点が多いものの、時間の経過とともに一般的には改善が見込まれることから、リハビリテーションを含め、対症療法や経過観察での療養が必要な場合には、上記のとおり療養補償給付等の対象となるが、十分な治療を行ってもなお症状の改善の見込みがなく、症状固定と判断され後遺障害が残存する場合は、療養補償給付等は終了し、障害補償給付の対象となる。

 

罹患後症状があり、療養等が必要と認められる場合は労災保険給付の対象となりますので、企業の担当者は情報として知っておくとよいでしょう。